撮影テクニック

Z8で運動会を撮る設定|被写体検出・3D-トラッキング・プリキャプチャの使い方

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Z8を持っているのに、運動会で思ったほど歩留まりが上がらない。そんな経験はないでしょうか。

Z8は「設定しないまま使う」にはもったいないカメラです。被写体検出もプリキャプチャも、事前に仕込んでおいて初めて効きます。

この記事では、Z8という機種の機能を、運動会でどう使い切るかに絞ってお伝えします。私自身がZ8を発売日から約3年使い、子どもを撮り続けてきた前提で書きました。

シャッタースピードや露出といった基礎設定、望遠レンズの選び方は、それぞれ別記事にまとめています。そちらと合わせて読むと、準備が一通りそろいます。

[Z8+望遠レンズで撮った作例]

運動会前に仕込んでおくZ8の設定(早見表)

当日その場でメニューを探すのは、現実的ではありません。前日までに、この状態にしておきます。

項目 設定 理由
被写体検出 人物 オートより迷いが減る
AFエリアモード 3D-トラッキング(基本) 我が子を指定して追える
フォーカスモード AF-C 動く被写体に合わせ続ける
レリーズモード 高速連続撮影(最高約20コマ/秒) RAWで残せる連写の上限
決定的瞬間用 ハイスピードフレームキャプチャー+ プリキャプチャで撮り逃し防止
カード CFexpress Type B 連写のバッファ詰まり対策
バッテリー 予備を必ず携行 一眼レフ時代の感覚では足りない

それぞれ、なぜそうするのかを見ていきます。

被写体検出は「オート」ではなく「人物」に固定する

Z8の被写体検出は、静止画撮影メニューの[AF/MFの被写体検出設定]で選びます。

[オート][人物][動物][鳥][乗り物][飛行機][しない]から選択できます。

運動会では、これを[人物]に固定してください。

[オート]のままだと、カメラが「何を検出すべきか」を毎回判断します。校庭には人以外のものも多いので、その判断に一瞬迷うことがあります。

人物と決め打ちしておけば、その迷いが消えます。

顔が見えなくても、頭部と胴体で追ってくれる

Z8の人物検出は、顔・瞳・頭部・胴体を検出します。

ここが運動会で効きます。かけっこで後ろ姿になっても、帽子で顔が隠れても、頭部や胴体を捉えてピントを保ってくれるからです。

私が一眼レフのD750からZ8に替えていちばん驚いたのが、ここでした。動く子どものピント歩留まりが、文字どおり激変しました。

D750時代は「撮れていることを祈る」感覚でしたが、いまは「外れているほうが珍しい」に変わっています。

AFエリアモードの使い分け(大勢の中から我が子を捉える)

運動会の難しさは、被写体が1人ではないことです。

カメラが優秀でも、隣の子にピントが合っては意味がありません。ここはエリアモードの選び方で解決します。

なお被写体検出が働くのは、ワイドエリアAF(S)(L)(C1)(C2)、オートエリアAF、3D-トラッキングの各モードです。

シングルポイントAFでは検出が動きません。

基本は3D-トラッキング(我が子を指名して追う)

運動会でいちばん使えるのが3D-トラッキングです。

スタート前に我が子へフォーカスポイントを合わせて追尾を開始すれば、そのままカメラが追い続けてくれます。「この子を撮る」と指名できるのが強みです。

リレーやかけっこのように、被写体が横切っていく競技と相性が良いモードです。

ワイドエリアAF(C1)(C2)は、枠の大きさを自分で決められる

意外と知られていないのが、ワイドエリアAFのカスタム枠です。

(C1)(C2)は、フォーカスモードボタンを押しながらマルチセレクターを操作すると、AFエリアのサイズを変更できます。

縦長の細い枠にしておくと、横に並んだ他の子を拾いにくくなります。ダンスや組体操など、我が子の位置がだいたい決まっている競技で便利です。

追尾が外れる条件も知っておく

3D-トラッキングは万能ではありません。ニコンも、次の場合は追尾が正常に行われないことがあると案内しています。

  • 被写体の色・明るさ・柄が背景と似ている
  • 被写体の大きさや色、明るさが著しく変わる
  • 被写体が大きすぎる、または小さすぎる
  • 動きが速すぎる
  • 被写体が隠れたり、画面から外れた

運動会では「同じ体操服が並ぶ」という、まさに条件に当てはまる場面があります。

他の子とすれ違った瞬間に乗り換えられることがあるので、追尾を過信せず、ファインダー内の表示は見ておいてください。

プリキャプチャで「押す前」の1秒を拾う

Z8を持っているなら、これは使わないと損です。

ハイスピードフレームキャプチャー+のプリキャプチャ機能は、シャッターを全押しする最大1秒前までさかのぼって記録できます。

「あ、と思ったときにはもう終わっていた」を、機械が肩代わりしてくれる機能です。

運動会での使いどころ

  • ゴールテープを切る瞬間
  • リレーのバトンパス
  • 跳び箱やハードルを跳ぶ瞬間
  • 玉入れで玉がかごに入る瞬間

いずれも、反応してから押したのでは間に合わない場面です。

先に知っておくべき制約

便利な機能ですが、割り切りもあります。

記録はJPEGのみで、RAWでは残せません。画質モードは[NORMAL]で、ファームウェアVer.3.00以降は[FINE]も選べます。

コマ速によって画像サイズも変わります。ここは知らずに使うと、あとで後悔します。

設定 コマ速 画像サイズ
C15 約15コマ/秒 Ver.3.00で追加。枚数を管理しやすい
C30 約30コマ/秒 FXで約45メガピクセル(サイズL)
C60 約60コマ/秒 DX固定・約19メガピクセル
C120 約120コマ/秒 FXでサイズS・約11メガピクセル

運動会で使うなら、画素数を確保できるC30が扱いやすいと思います。

C120は魅力的な数字ですが、約11メガピクセルまで落ちるうえ枚数も膨大になります。トリミング前提の運動会では、むしろ使いにくい場面が多いはずです。

設定はカスタムメニューd4から

さかのぼる時間と、全押し後に何秒撮るかは、カスタムメニューd4[C30/C120記録設定]で決められます。

プリキャプチャが有効なとき、シャッター半押し中は画面のアイコンに緑の点が表示されます。これが出ていれば、記録が始まっているサインです。

全競技をこのモードで撮るのはおすすめしません。RAWが残らないためです。ゴールや決定的瞬間だけ切り替える、という使い方が現実的です。

連写を止めないために、カードは妥協しない

Z8の高速連続撮影は最高約20コマ/秒。プリキャプチャなら最大120コマ/秒です。

これだけのデータを吐き出すので、カードの書き込み速度が足りないとバッファが詰まります。ニコンも、書き込み速度の速いメモリーカードの使用を推奨しています。

連写が止まるのは、たいてい決定的な場面です。ここでケチると、カメラ本体の性能がそのまま死にます。

私はCFexpress Type Bを使っています。運動会のように「1日で何百枚も撮る日」は、容量にも余裕を持たせておくと安心です。

☀️ Z8の連写を止めないためのCFexpress Type Bカード

バッテリーは一眼レフ時代の感覚だと足りません

Z8で運動会に臨むなら、ここは必ず対策してください。

私の体感では、Z8のバッテリー持ちは一眼レフのD750と比べて半分程度です。動画を回すと、さらに減りが早くなります。

ミラーレスは電子ビューファインダーを常時表示しているので、構えている間ずっと電力を使っています。待ち時間の長い運動会とは、相性が良くありません。

予備バッテリーは必須だと考えてください。私は運動会のような長丁場では、必ず予備を持って行きます。

当日の消費を抑える小技

  • 競技の合間はこまめに電源を切る
  • 撮った写真の確認(再生)を控えめにする
  • モニターの明るさを上げすぎない
  • 寒い時期は、予備をポケットで温めておく

☀️ Z8用の予備バッテリー(EN-EL15c)

ボタン割り当てで、当日の操作を減らす

運動会は、メニューを開いている余裕がありません。

よく使う機能をボタンに割り当てておくと、ファインダーから目を離さずに操作できます。

私はFn1に「拡大画面との切り換え」を入れています

実際に私がいちばん使っているのが、これです。

Fn1に[拡大画面との切り換え]を割り当てておくと、ボタンひとつで拡大表示に飛べます。

狙いは、ピントが本当に合っているかの確認です。ファインダーの小さな表示では、合っているように見えて実は外していた、ということが起こります。

運動会では、この確認スピードが効きます。一本目のかけっこで歩留まりを把握できれば、二本目以降の設定を変えるか、このままいくかを判断できるからです。

撮り終わってから家で気づくのでは、もう取り返しがつきません。

ほかに割り当てておくと便利な機能

残りのボタンには、競技中に切り替えたくなるものを入れておきます。

  • AFエリアモードの切り替え:3D-トラッキングとワイドエリアAFを競技ごとに行き来する
  • 被写体検出のオン/オフ:検出が他の子に移ったときの逃げ道になる
  • 撮像範囲のFX/DX切り替え:DXにすれば画角を約1.5倍相当に稼げる

3つ目は、望遠が足りないときの保険として知っておくと役立ちます。

Z8は約45メガピクセルあるので、DXに切り替えても約19メガピクセルが残ります。トリミング耐性を考えれば、実用上は十分な画素数です。

レンズ交換をためらわなくていい理由

細かい点ですが、Z8ならではの利点をひとつ。

Z8にはセンサーシールドが搭載されていて、レンズを外すとセンサーの前に遮蔽幕が下ります。

砂ぼこりの舞う校庭で望遠から標準に付け替えるとき、この安心感はかなり大きいです。私自身、屋外でのレンズ交換のストレスが激減しました。

どのレンズを使うかは、別記事にまとめています。

まとめ:Z8は「仕込んでおく」カメラ

運動会でZ8を活かす鍵は、当日の腕前ではなく前日の準備にあります。

被写体検出を[人物]に固定し、3D-トラッキングを基本に据える。決定的瞬間にはプリキャプチャを使い、カードとバッテリーで足を引っ張らせない。

そしてFn1に拡大確認を割り当てて、その場でピントを確かめられるようにしておく。

ここまで仕込んでおけば、あとは我が子を追うことに集中できます。

D750時代は、撮れているか不安なまま帰宅していました。

それがZ8では、帰りの車で「今日はいいのが撮れた」と言えるようになった。機能を使い切れば、そこまで変わります。

よくある質問

被写体検出は[オート]ではだめですか?

使えますが、運動会では[人物]に固定するほうが確実です。検出対象を絞ることで、カメラが判断に迷う余地がなくなります。

3D-トラッキングとオートエリアAF、どちらがいいですか?

我が子を狙うなら3D-トラッキングです。オートエリアAFはカメラ任せになるため、大勢が写る運動会では意図しない子を選ぶことがあります。

プリキャプチャはRAWで残せますか?

いいえ、JPEGのみです。画質モードは[NORMAL]で、ファームウェアVer.3.00以降は[FINE]も選べます。

RAWで残したい競技は、通常の高速連続撮影に切り替えてください。

C30とC120、どちらを使うべきですか?

運動会ならC30が扱いやすいです。C120は約11メガピクセルまで画像サイズが下がるため、トリミングする前提だと足りなくなることがあります。

望遠が足りないときはどうすればいいですか?

撮像範囲をDXに切り替えると、画角を約1.5倍相当に稼げます。Z8は約45メガピクセルあるので、DXでも約19メガピクセルが残ります。

ボタンには何を割り当てるのがおすすめですか?

私はFn1に[拡大画面との切り換え]を入れています。ピントが合っているかをその場で確認できるので、競技の合間に設定を見直す判断が早くなります。

ほかにAFエリアモードの切り替えや、撮像範囲のFX/DX切り替えも運動会向きです。

バッテリーは何本あれば足りますか?

使い方によりますが、一日がかりの運動会なら予備を用意しておくべきです。Z8の持ちは一眼レフ時代の感覚より短く、動画を撮るとさらに消費が早まります。

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