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「もっと寄って、小さな世界を撮りたい」と思ったことはありませんか
子どもの小さな手や、料理の湯気、庭に咲いた一輪の花。日常の中には、ぐっと近づいて切り取りたくなる“小さな世界”がたくさんあります。けれど普通のレンズだと、ある一定以上は寄れず、思ったほど大きく写せなくて歯がゆい——そんな経験はないでしょうか。
その悩みを解いてくれるのが、マクロレンズです。今回は、私が長く愛用してきた一本、タムロン SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)をご紹介します。被写体に等倍まで寄れる本格マクロでありながら、ポートレートにも使える描写の良さを持つ、評判の高いレンズです。実際に使って感じた魅力と、正直な気になる点まで、等身大でお話しします。

SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD (Model F017) Nikon用
このレンズはどんな一本か
このレンズは、焦点距離90mm・開放F2.8の等倍(1:1)マクロレンズです。
「等倍」とは、被写体を実物大のままセンサーに写せるということ。つまり、肉眼では見えにくい小さなディテールまで、画面いっぱいに大きく写せます。
タムロンの90mmマクロは長い歴史を持ち、その美しいボケ味から「ポートレートマクロ」とも呼ばれてきた系譜のレンズです。
F017はその現行世代にあたり、手ブレ補正(VC)、静かで速いAF(USD)、防塵防滴・防汚コートを備えた金属鏡筒という、しっかりした作りになっています。重さは約600g、全長は約12cm。マクロとしては標準的なサイズ感です。
ひとつ大切な注意点を先に。このF017はFマウント(一眼レフ用)のレンズです。私のようにミラーレスのNikon Z8で使う場合は、マウントアダプター「FTZ」を介して使うことになります(タムロンからZシリーズ対応の案内が出ています)。
前機のD750ではそのまま、Z8ではFTZ経由で——という形で、私は世代をまたいで使い続けてきました。
使ってわかった、3つの魅力
① 等倍マクロで、小さな世界が主役になる
いちばんの魅力は、やはり寄れることです。等倍まで近づけるので、花の蕊(しべ)、料理のつや、子どものまつ毛やおもちゃの細部まで、ふだん見過ごしている小さなものが、ドラマチックな主役になります。テーブルフォトや物撮り、アクセサリー撮影など、「ブログやSNSにきれいな一枚を載せたい」という用途にもぴったりです。
② シャープなのに、ボケはやわらかい
マクロというと「カリカリにシャープなだけ」と思われがちですが、このレンズの良さは解像感とボケの両立にあります。ピントの合った部分はきりっと解像しながら、背景はとろけるように柔らかくボケる。だからこそ「ポートレートマクロ」と呼ばれてきたわけで、90mmという中望遠の画角を活かせば、人物撮影にもよく合います。私は子どもの寄りの表情を撮るのにも使ってきました。

等倍で寄って撮影した作例

ボケを楽しめる中望遠として使用した作例
③ 手ブレ補正と防塵防滴で、扱いやすい
マクロ撮影は、ほんのわずかな手の揺れがピントのズレに直結します。F017は手ブレ補正(VC)を搭載しているので、手持ちでも比較的撮りやすいのが助かります。さらに防塵防滴と前玉の防汚コートを備えているので、屋外で花や自然を撮るときも安心感があります。金属鏡筒のしっかりした質感も、所有する満足感につながります。
正直に言う、気になる点
気に入っているレンズですが、買ってから「思っていたのと違う」とならないよう、正直にお伝えします。
① ミラーレスではFTZが必須。前述のとおりFマウントなので、Z8などZシリーズで使うにはFTZアダプターが要ります。装着すると全体が長くなり、重量も増します。これから新規にZ用のマクロを揃えるなら、ニコン純正の「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」というネイティブの選択肢もあるので、用途と予算で比べると良いです。なお対応状況やファームウェアは更新されることがあるので、購入前に最新のサポート情報を確認してください。
② 等倍域はピントが薄く、難しい。これはマクロ全般に言えることですが、被写体に近づくほどピントの合う範囲(被写界深度)が極端に浅くなります。等倍付近では数ミリの世界なので、絞り込む・三脚を使う・ピント位置を慎重に決める、といった工夫が必要です。「付ければ誰でも簡単に寄れる」というより、少し練習して使いこなすレンズです。
③ AFがマクロ域で迷うことがある。近距離でピントを外すと、復帰に少し時間がかかる場面があります。フォーカスリミッターを活用したり、最終的にマニュアルでピントを追い込むと安定します。
こんな人におすすめです
これらを踏まえると、このレンズが向いているのは、こんな方です。
「花や小物、料理、アクセサリーなどを大きく・きれいに撮りたい」という方。
「ブログやSNS用に、テーブルフォトの質を上げたい」という方。
そして「ポートレートにも使える、ボケのきれいな中望遠単焦点が一本ほしい」という方です。
マクロと中望遠ポートレートを一本で兼ねられるのは、コストパフォーマンスの面でも魅力です。
逆に、「とにかく身軽でいたい」「ミラーレスでアダプターなしのすっきりした運用がいい」という方は、純正のZマウントマクロを検討するほうが幸せかもしれません。
よくある質問
Q. Nikon Z8など、ミラーレスでも使えますか?
はい。FTZ/FTZ IIアダプターを介して使えます(タムロンからZシリーズ対応の案内が出ています)。ただしアダプター分の長さ・重さが増えること、対応状況やファームウェアは変わり得ることは押さえておいてください。最新情報はメーカーのサポートページで確認すると確実です。
Q. 純正のZ MC 105mm f/2.8と、どちらがいいですか?
すでにFマウント資産がある方や、価格を抑えたい方にはF017が魅力です。一方、これからZ専用で揃えるなら、アダプター不要でAFも最適化された純正105mmが扱いやすい選択です。「今ある環境」と「予算」で選ぶのがおすすめです。
Q. マクロ初心者でも使いこなせますか?
使えます。最初は「等倍まで欲張らず」、少し離れた距離から寄っていくと失敗が減ります。手ブレ補正があるので手持ちでも撮りやすいですが、本気で寄るときは三脚があるとぐっと安定します。
まとめ:一本で「小さな世界」と「やわらかな人物」を撮れる
タムロン SP 90mm F/2.8 Di MACRO(F017)は、等倍まで寄れるマクロの楽しさと、ポートレートにも使える美しいボケを、一本で味わえるレンズです。手ブレ補正や防塵防滴といった実用性も備え、日常の小さな被写体から人物まで、表現の幅をぐっと広げてくれます。
ミラーレスで使うにはFTZが必要、等倍域はピントがシビア、といった注意点はありますが、それを差し引いても「寄れて、ボケて、よく写る」価値は大きい。「いつもの写真に、もう一つの視点を足したい」と感じている方に、ぜひ手に取ってみてほしい一本です。
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